歴代の各モデルのすばらしさを十分に堪能した後、いよいよ現行モデルの試奏に入りました。
有名国内メーカーのサックス、そしてSelmer社の最近の各モデル。
試奏した第一印象としては、多くの現行モデルのサックスが、ヴィンテージ各モデルを吹き比べた時のような個性の違いが
ほとんど感じられませんでした(どれも似たような感じ)。
なんというか、自分が表現したいことにダイレクトに反応してくれないというか、
まあ新品のサックスですので、どうしてもそのような傾向にはあると思いますが、
そこを考慮しても、今一つ吹いていて楽しめないというようなもどかしさが残ります。
またビンテージモデルを演奏した時のような、「もっとフレーズを吹きたい!」
「もっといろんなニュアンスの音を出したい」という感覚が、残念ながら私にはありませんでした。
(多分、歴代のヴィンテージサックスを吹いた直後だったため、特にそのように感じたのだと思われます。)
但しその中で、ヴィンテージ各モデルを吹いた時と同じようなワクワク感を感じられたサックスがありました。
そのサックスが、リファレンス(Reference)でした。
現行モデルの中で、吹いていて、「もっとフレーズを吹きたい!」
「もっといろんなニュアンスの音を出したい」という気持ちになれるのがこのリファレンスでした。
【リファレンス36と54】
今回の試奏会でそのクオリティの高さを改めて痛感したリファレンス(Reference)ですが、
このリファレンスには、モデル36とモデル54の2種類があります。
1936年に開発されたセルマー(Selmer)バランスアクションを再現したのがリファレンス36、
そして、1954年に開発されたセルマー(Selmer)マーク6を再現したのがリファレンス54です。
マーク6が好みの方は、リファレンス54を、そしてバランスアクションの個性がお好きな方は
リファレンス36をお選びいただくのが良いと思います。
それでは、セルマー(Selmer)マーク6とセルマー(Selmer)バランスアクションの違いについてですが、
まず音色については、マーク6の方が比較的近代的で普通に良く鳴ってくれる感じです。
一方、バランスアクションは、音色はどちらかといえば古風なイメージ。
個人的にはビンテージコーン等の個性に似ている部分があると感じています。
自身の個性を出したい方(音色づくり、細かな表現)には36を、楽に快適に演奏する事を優先したい方には
54の方をお薦め致します。
私個人的には、54は音色等の個性がある程度決まってしまうため、36の方が好みでした。
(弊店スタッフも同意見でした。)初心者の方には、54の方がお薦めです。
これらは、あくまでも私の主観的な部分も多いため、可能であれば両方試奏をして
決めて頂くのが良いです。
そして今回改めて驚かされたのが、コーンサックス(弊店スタッフ調整済み品)のすごさでした。
(SAXmen.jp調整済みサキソフォンの詳細)
このクオリティでこの価格なので、コストパフォーマンスが非常に高いという部分も特筆すべきではありますが、
それよりもなによりも、このコーン、Selmerにはない独特の個性があります。
その個性に向かってしっかりと開発されたサックスであると感じられます。
以前のコーン社のサキソフォン(いわゆるヴィンテージ)は、評価も高く、実は私も大好きなメーカーなのですが、
現代のコーン社の評価は決して高いとは言い切れず、このサックスに注目する人も
ほとんどいないのではないでしょうか。
しかし、このように吹き比べてみると、こだわりを持って開発されているのがビシビシと伝わってきます。
更には、もっと高価な各現行品を試奏した時にはヴィンテージを吹いた時と同じような
感覚(次から次に別のフレーズを吹きたくなる感覚)を得られなかったのですが、このコーンだけは、似たような感覚も感じることができました。
予算のない方に、ある意味つなぎとしてこのコーンをお薦めはしていますが、
予算のある方でも、あえてコーンを選ぶという選択肢も大いにあり得ます。
それくらい高いポテンシャルを持ったサキソフォンだと感じました。
今回、たまたまこの試奏会に立ち会って頂いたプロ奏者の太田さんも大絶賛でした。
特にBe-Bop等がお好きな方は、一度、試す価値あり(とは、太田さん談)。
(このお薦めのコーン(SAXmen.jpオリジナル調整済み品)、ご満足頂けない場合は返品をお受けしておりますので、是非お試し下さい。)
今回の試奏会を通じ、同席した3人ともに改めてリファレンス(Reference)のクオリティの高さを痛感しました。
そして、弊店で廉価品としてご紹介しているC.G.CONNコーン(特別調整品)のすばらしい個性を、
今回新たに発見した試奏会でもありました。
試奏した各ヴィンテージモデルのクオリティはもちろん高く、もし自分自身が選ぶのであれば、
やはりヴィンテージを選ぶでしょう。
しかし、状態の良いヴィンテージサックスが手に入りにくい現在、もし選ぶのであれば、
サキソフォン全体のバランスやクオリティがそれらヴィンテージ同様に高く感じられる
リファレンス(Reference)を選ぶという弊店スタッフと同様の結論に、アマチュアサックス吹きである私も至りました。
更には、コーン社の現行モデル(弊店の調整を施した状態のものではありますが。)の
クオリティの高さを目の当たりにし、価格だけで選ぶべきではないという事も
今回、改めて痛感させられました。
ここでお薦めしたリファレンス(Reference)ですが、そもそもの生産台数が少ないため、
中々、良い選定品は多くはないかもしれませんが、是非一度、お試し頂きたいと思います。
(本当に良い楽器ですので、吹いたことがない方は是非試してみて下さい!)
本店「音楽社」には、丁寧に選定されたクオリティの高いリファレンス(Reference)がございますので、
お近くの方は、是非、試奏にお越し下さい。
弊店では、これまで、今回ののような検証を繰り返した結果、
これらの機種を積極的にお薦めしておりますが、もちろん、プレイヤーによって好みは分かれます。
あくまでもご自身に最適なサキソフォン選びのひとつ参考材料として頂ければ幸いです。
最後に、今回、試奏会に同席頂いたサックス奏者の太田裕士さんによる試奏映像をご覧下さい。
(たまたまご来店頂いていた太田さん、試奏まで行って頂きありがとうございました!)