そもそもサックスやクラリネットマウスピースのフェイシングに興味を持ったのは何故ですか?
チャールズベイのマウスピースが初めて日本に入ってきた時、その1本1本のマウスピースに色々な特徴があり、何故、 こんなに違いがあるのだろうと興味を 持ちました。
その後チャールズベイ氏に直接会い、私の使用している彼の作ったマウスピースを見せたところ、彼は私が大切に愛用していることを大変喜んで、自分が製作する1本1本のマウスピースのデータを全て大切に保存していること、自身の製作ポリシーや参考にしたマウスピース等、 いろいろ教えてくれ ました。
それから私は、本格的にマウスピースの中の形状の違い・フェイシングの違いのデータ収集に
熱中するようになりました。幸い職場が管楽器専門店でしたから、H,セルマー、バン ドーレン、メイヤー、
オットーリンク等、定番有名ブランドのデータサンプルには事欠きませんでした。
その後、巨匠ラルフモーガンのマウスピースに出会ったのですが、このマウスピースは私にとって大変吹き易く
魅力的で絶好のサンプルでした。モーガンに関してはソプラノサックス~バ スサックス、E♭クラ~バスクラ迄
全種類購入して、フェイシングと吹き心地等の関係を 随分と研究しました。
フェイシング管理ツールを開発した経緯は?
初心者の生徒が中々上達しないことがあり、あまりにもおかしいので
その生徒のマウスピースを自分で吹いてみたら、
すごく吹きにくかったんです。フェイシン グを計ってみたところ、
ほかのマウスピースに比べてフェイシングカーブがなめらかではなく、
左右のレールのバランスが非常に悪かったんです。
そこで、リ フェイス(削りなおし)を行ったところ、非常に吹きやすくなり、その生徒さんもちゃんと音が出せ音程が安定するようになりました。
(某有名メーカーでした ので、生徒の楽器を選定しに輸入元に行った際、データを見せ改善を促したところ、現在はかなり改善されました)
その事がきっかけで、販売するマウスピースのフェイシングを
全てチェックする必要性を感じました。
しかし、店頭に置いているクラ、サックスのマウスピースだけでも何百本もあり、
チェック、データ管理するだけでも大変な作業でした。また、数値データだけ でなく、
使用者にわかりやすく目に見える形で表示したいという思いがありました。
それまでは自分でグラフを描いていたのですが、ちょうど社員の中に、工業エンジニアを経験していた
専門家がおりまして、話をしたらあっという間に管理ツールを開発してくれて、
今ではフェイシング測定データを入れるだけでフェイシングカーブの状態が
図形でわかり易く確認出来るようになりました。
最後に、弊店スタッフ飯島が考える楽器選びのコンセプトとは?
奏者が自分の気持ちをどれだけ直接聴いている人に伝えられるか?
という所が一番のポイントになってくると思います。
そのために自分と音の間になるべく距離が生まれない、使い易い道具として選びたいですね。
反応が良く使っていることを意識させない、表現の幅が広い楽器や マウスピースを選ぶことが、
楽しく演奏するポイントだと思います。